世界観解説:ゼロキャンペーンと召喚理論
ストーリー紹介:第一章より。
ゼロキャンペーンとは何か
世界樹での祭りの際に起こった、「大型魔物の出現する」という不測の事態。
かつて世界樹で行われた「魔物の出現を減らす」というゼロキャンペーンと、それを行ったエステルが疑われました。
そもそもゼロキャンペーンとは何なのか。エステルからは以下の説明がされます。
①魔物は異界からやってくる。そこには「通り道」が存在する。
「通り道」は魔物にとっての「空気穴」を兼ねていて、その近くでないと生息できません。
②穴を塞ぐことで魔物の侵入を阻止し、また窒息状態にさせ侵入済みの魔物を絶やす。
これがエステルの行っているゼロキャンペーンであり、一挙両得の効果が見込まれるはずでした。
シノブによる新たな仮説
エステルから世界樹の件の報告を受けたゼロキャンペーンの立案者、シノブ。
報告を元にその場で新たな仮説を立て、世界樹の一件はゼロキャンペーンによって引き起こされたと、立案者自らその危険性を示唆する結論に至りました。
その仮説とは、「この世界」と「異界」にはマナの差があり、それ差によって召喚が行われているという仮説です。


以下がシノブによる理論です。
- 異界との間に穴があり、そこから魔物が湧き出る
(シノブによる説(ある程度は召喚士=専門家にとっての既知の知識であると思われる)) - 異界との穴は空気穴を兼ねており、その近くでしか生息できないし塞げば魔物はいなくなる
(同上) - この世界にはマナが存在する
(作中における一般常識の模様) - 異界のマナは、その濃度はこの世界より高い。
(世界樹の報告を受け新たに作られたシノブの仮説) - 召喚には不可逆性があり、この世界の者が異世界に行くことはない
(理由は不明だが観測されている事実) - ハグレの不可逆性は、マナの濃い異界から低いこの世界に常に流入するマナの圧力によるものである
(シノブの仮説によって推測される新理論) - そして「ゼロキャンペーン」は、風が吹いている中、穴だけを塞ぐ行為なので、こちらに流れるマナが溜まり続け、ついには風船が破裂するかの如くより大きい穴が開いてしまう。
以上が新理論によって導かれた事件の真相です。
シノブによって明かされる召喚の仕組み、世界の謎
プレイヤー目線では「この世界での既知/未知情報」がそもそも不明なところ、この経緯により
「仕組みもわからずに召喚が使われている」
「それをシノブの様な天才が後から理論を発見している」
という現状が見えてきました。
もっと言うと、「仕組みも知らないのに「穴をあけたらハグレが来る」とテキトーに召還を乱発した世界」。
理論も文明も未完成で、シノブの様な天才・革命者によって成り立ちが証明されていく過程と言えるのでしょう。
ローズマリーのシノブへの畏怖は、未知な世界の現状を変える力をシノブの知性の中に見たことによるものでしょう。そして、たとえ正しい知識・事実の発見によるものでも、世界を急速に変えうる力は時に軋轢を生むことも…
ハグレ王国の面々は、シノブの後を追ったり、世界の秘密を知る別の者と出会ったり、そうして得られたピースを組み合わせるなどしながら、彼女とは別の道で世界の謎に迫っていきます。
現時点で想定される疑問点
- マナの差で召喚の不可逆性が起こるなら、そこが解消されれば「こちらから異界へ」の移動も可能なのか?
- この世界はなぜマナが少ないのか?
- マナが少なくてこの世界の住民はやっていけるのか?
ここら辺の疑問についても、2章以降徐々に明らかにされていきます。
以下予断、「不可逆性」とマクスウェルの悪魔
「ハグレの不可逆性」という言葉で、なんとなく「エントロピーの法則」や「熱力学の第二法則」を思い浮かべる方もいると思います。
専門外なんで雑な要約になってしまいますが、「温かい物から冷たい物へ熱エネルギーが移る」という現象のことを一部指します。
これには作中のマナの濃い世界から薄い世界へマナが流れ込む現象との類似性を感じます。
また、「データによる検証という意味では正しいが、証明は未完成」という点においても、影響を感じます。
(参考:熱力学第二法則 – Wikipedia)
そして、「熱力学の第二法則を否定する、永久機関を生み出すための思考実験」のことを「マクスウェルの悪魔」と呼ぶことに気づいた時、点と点が繋がったと確信しました。
マクスウェル、そう、シノブを敵視し、エステルに陰謀を仕掛けた召喚士協会の敵対者の名前がマクスウェルなのです。

彼はのちに、召喚を無尽蔵に繰り返す悪魔のようなシステムを作り上げますが、その構想が1章時点ですでにあったことの証左のように思えました。
(マクスウェルの悪魔 – Wikipedia)
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